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先生になった今だから、もう一度受けたい授業がたくさんあります|#040 渡邊 恭平さん

 聖学院大学 人文学部 日本文化学科 卒業

今年、ボランティア活動支援センターの職員が、とあるフォーラムで都立の高等学校の校長先生とご一緒する機会がありました。
そのときに、校長先生から「聖学院大学の卒業生がうちの高校で先生として頑張っていますよ」とお声かけをいただいたことがきっかけで、今回の取材が実現しました。

事前には雨の予想もありながら、なかなかの好天候に恵まれた今年のゴールデンウイーク。
日差しは強いけれど、風があって爽やかな初夏のようなGW中の取材当日。
午前中の女子ハンドボール部の指導を終えたばかりの渡邊恭平先生に、学校の玄関先で笑顔で迎えてもらいました。

たいへんなことも多いですが、すぐ忘れちゃいます

ーー高校に任用されて2年目とうかがっています。現在の職務や役割についてお話いただけますか?

今年は1年生のクラスの担任をしています。
そして、昨年は生活指導でしたが、今年は学年の教務担当をしています。
教科は国語科です。
『現代の国語』と『言語文化』という2つの科目を4クラス、3クラスの合計7クラス担当しています。

僕は仕事があまり速くはないのですが、7クラスの担当では1クラス40名として、280名のテストをつくって、採点して、宿題や提出物の採点やフィードバックもしなくてはならないわけで、それはやはりたいへんですね。

いつもたいへんだと思って、そのときはイライラもするのですが、すぐ忘れちゃいます。
すぐ治っちゃうんです。

逆にやりがいを感じることは、いつも授業中に寝ているような生徒がテストの前にようやくやる気になって、僕のところに質問をしにきてくれることがあります。
そうした生徒がテストで良い点数を取ったりすると、あの後も頑張って勉強してくれたんだなとか、僕の説明をきちんと理解してくれたんだなと思ってうれしく思います。

部活動は女子ハンドボールの指導をしています。
実は僕は中学、高校とハンドボール部だったんですよ。

新入生を迎え入れる黒板アート:イラストが得意な渡邊先生の作品


ーーなぜ、先生になろうと思ったのですか? 
先生になることを考えはじめたのはいつ頃からですか?

自分が勉強が得意ではなかったので、同じように勉強が苦手な子たちの背中を押してあげられたらいいなと思っています。
頑張る子を応援したいというのが先生になった動機です。

いつ頃先生になることを意識したかといえば、実は教育実習が終わった後からなんです。
教員採用試験の直前ですね。

両親から大学にはなんとか行かせてあげられるけれど、せっかく大学に行くのだから、ちゃんとそれなりの成果を残しなさいと言われたので、教職はとっておこうと思いました。
でも、先生になろうとは考えていなくて、実はバスガイドになりたかったんですよ。
人前で話したり、何かを説明したりするのが好きで、計画を立てたり、指揮をとったりすることも好きだったので、ツアーコンダクターもいいなと思っていました。

それが、教育実習を経験して、なぜだか理由は自分でもわからないのですが、先生をやりたくなっちゃいました。
たいへんなこともありましたし、緊張もしましたけれど、それでもやはり楽しかったんでしょうね。
自分に合っている仕事だと思いました。


勉強が苦手な僕が、ひたすら勉強を頑張りました

ーー採用試験の直前に先生をめざすことを決意して、現在に至るまでの苦労などお聞かせいただけますか?

苦労をあげたらキリがないですが、とにかく勉強ができなかったですね。
聖学院大学の先生方が驚くくらいひどい成績で、その頃の成績を見たら、よく教員採用試験をクリアできたなって思うでしょうね。

なので、本当にひたすら勉強を頑張りました。
最初の採用試験に失敗した翌年は、臨時採用で高校の先生をしていましたが、幸いと言っていいのかはわかりませんが、コロナ禍で在宅勤務になり奇跡の時間が生まれたんですね。
それでもうとにかく勉強しました。

ところが、翌年も残念ながら合格できなかったのですが、学科の力は着実に上がっているのが自分でもわかりました。
しかし、小論文の評価が低かったので、働きながら勤務先の校長先生やいろいろな先生方に添削してもらったり、励ましてもらったりしたおかげで、ようやく2年前の試験に合格できて、そして今、こうして教壇に立っています。
本当に僕は人に恵まれていると思います。

全然勉強ができなかった自分が、目標を持って頑張り、2年掛かって採用試験に合格したという話を短くまとめて、臨採で勤務させてもらった高校の離任式でスピーチしたら、生徒よりも先生方に響いていましたね。
「もう少し、生徒たちと向き合ってみるわ」って。

大学の同級生、親友でありライバルでもあるSさんと、同じ年に2人揃って教員採用試験に合格したそうです。
「あいつが受かって僕が受からないのは悔しいので、それは必死に勉強しましたよ。試験の結果は自分の番号より先にSの番号から確認しました。」
と渡邊先生。なんかいい関係です。


先生になった今だから、もう一度受けたい授業がたくさんあります

ーー聖学院大学で印象に残っていることを聞かせてください

印象に残っている授業は、濱田 寛先生の授業です。
僕は漢文はあまり得意ではなくて、わからないところもたくさんあったのですが、話が面白くて気がついたら授業が終わっていたということが何度もありました。
授業のところどころで面白い小話を楽しそうに話してくれて、濱田先生が本当に楽しそうに話してくれるので僕も楽しくなってくるんですよね。
それっていいなと思って、今は自分も見倣って生徒に楽しそうに話すようにしています。

高校教員になって、もう一度あの授業を受けたいなと思う授業がたくさんあります。

例えば熊谷芳郎先生の教職の授業は今あらためて受けてみたいです。
木下綾子先生の古典の授業もまた受けたいです。
教員の視点で、どういう風に先生方が教えていたのかとか、授業計画をどうつくっていたのかなど今なら知りたいですね。

僕は『日本の芸能・工芸』の「落語」は履修しなかったのですがちょっと後悔しています。
授業をするのに、落語を通して話し方を学んでおくべきだったなと思うんです。
学び直しができるなら、落語は絶対学びたいです。

卒業生がもう一度母校で学び直しができる機会があるといいですよね。
大学でぜひ検討してくれませんか?

それから、清水均先生のゼミに所属していて、日本のポップカルチャーをテーマに卒論を書きました。
清水先生の授業では『埼玉学』も印象に残っています。
岩槻の農産物やマスコットキャラクターなどを調べて発表を行いました。

サークルはバレーボール同好会に所属をしていて、代表も務めました。
サークルを通してできた仲間たちは一生の友だちです。

ヴェリタス祭(大学祭)も本当に楽しかったですが、一つだけ提案をさせてください。
ヴェリタス祭に出演するタレントが実行委員の独断で決められているようなので、学生の意見を聞くアンケートを実施したらみんなの満足度があがって良いのではないかと思っています。
学生アンケートの実施を提案します。

本当に聖学院大学にはお世話になりました。
入学して良かったと思っています。
ここでしか出会えなかった人ともたくさん出会えて、また人生やり直せたとしても僕はきっと聖学院大学を選びます。

影響力のある教員をめざして

ーー渡邊先生のこれからの目標を聞かせてください

まずは、今担任しているクラスの生徒全員をきちんと進級させることです。
後で振り返って楽しかったと言えるようになってもらいたいです。

もう少し長いスパンでの目標は2つあります。

1つは部活動で何か成し遂げることです。
勝つことだけがすべてとは僕は思っていないので、例えば卒業した後で、部活で学んだことが生かされればいいなと思っています。
人に気を遣うことや、目配りすること、きちんとあいさつをすることができる人になってもらいたいなと思います。

2つ目は、影響力のある教員になりたいなと思っています。
適当なことを言うのではなくて、きちんと自分の発言に責任を持って、人に影響を与えられる人になりたいです。
そのためには実績や普段のふるまいが大事だと思うので、まだまだこれから勉強していかなければと思っています。
(取材:2023年5月)

ーー ありがとうございました。卒業生の学び直しの機会を大学が提供できたら本当にいいですね。大学に提案してみたいと思います。

●渡邊 恭平(わたなべ きょうへい)さん プロフィール
東京都立の高等学校 国語科教諭、学年教務部担当、女子ハンドボール部顧問 
聖学院大学 人文学部 日本文化学科 卒業
在学中はバレーボール同好会に所属、代表を務める


「誰一人取り残さない」世界の実現を目指して
聖学院は教育で社会に貢献しています

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