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【Z世代の活躍!Vol.4】世界にヲタ芸を広めるミッション!|#070 稲垣 航輝さん

聖学院中学校・高等学校 卒業

毎年、創立記念祭(=文化祭、以下記念祭)には、たくさんの卒業生が学校に遊びに来てくれます。
稲垣 航輝(いながき こうき)さんも今年来てくれた卒業生の一人。
「まさに”オンリーワン”の面白い活動をしている卒業生が記念祭に遊びに来てくれたんだけど、noteで紹介するのはどうかな?」と聖学院中高の先生から連絡があり、さっそく取材させていただきました。




いつもであれば、ある程度のプロフィールがわかっている状態で取材をしているのですが、今回の稲垣さんについてはほとんど情報がありませんでした。
わかっているのはヲタ芸をやっていて、YouTubeの登録者数がとんでもなく多いということだけ。
それだけに、あれこれ想像して、とてもワクワクした気持ちで取材の日を迎えました。

ヲタ芸を広めるパフォーマーとして活動中

ーー稲垣さんは現在はどんなお仕事をされているのでしょう?
また、どんな経緯で今のお仕事をされるようになったのかを教えてください

僕は現在、「ヲタ芸」を世に広めるパフォーマーとして活動をしています。
2018年、当時僕は大学2年生でしたが、僕と同様にヲタ芸に魅せられた仲間と集まってチーム”ゼロから打ち師始めます。"(以下ゼロ打ち)を結成しました。
ヲタ芸のパフォーマンスを動画に撮って編集し、YouTubeにアップすることが主な活動で、月に一本以上制作していました。

大学を卒業して、一旦は就職をしたのですが、ゼロ打ちの活動は就職してからもずっと続けていました。
自分が振り付けをした動画だけでも100本ほどになっていて、ゼロ打ちのチャンネル登録者数は今年(2024年)11月末に500万人を突破しました。

就職先は芸能事務所で、僕はパフォーマーではなくてマネジャーとして採用されました。
仕事内容はタレントのサポートの他、イベントの運営や、ダンス動画の撮影、編集などを主にしていました。
この会社で2年間の勤務を経て、今年、現在の仕事に転職をしました。
そして、継続して活動を続けているゼロ打ちのパフォーマーとしての活動で今は生計を立てています。

ゼロ打ちを運営する組織は現在、僕を含めて5名のパフォーマーと2名のバックスタッフ(裏方)で構成されています。
以前はメンバーがそれぞれパフォーマーとマネージャーの役割をこなしてきたのですが、仕事が拡大してきたので機能的、効率的にしようと考えて法人を立ち上げました。

具体的な活動内容としては、YouTubeの動画の制作をして、楽曲PRを行い、懇親会や商品発表会といった企業のイベントや地域のお祭りなどに出演したりしています。


アイドルの応援芸を超えたヲタ芸

ーーヲタ芸とはアイドルオタクの応援芸のことですよね?
稲垣さんが推しのアイドルっているのですか?

僕は実はアイドルが好きだからという理由でヲタ芸をはじめたのではありません。

僕がヲタ芸を知ったのは、高校2年生のときで、当時はヲタ芸の動画をネットで見かけることが多い環境にありました。
ツイッター(現 X)上で視聴数が爆発的に伸びていたヲタ芸動画があるのですが、それがたまたま僕のタイムラインに流れてきて、それを見たらめちゃめちゃカッコ良かったのです。

また、バスケ部の先輩でヲタ芸をやっている人がいて、僕がヲタ芸をはじめる数年前の記念祭の後夜祭でパフォーマンスをしているのを見たことがあり、強く印象に残っていました。

つまり僕の中では、ヲタ芸というのは一種のダンスジャンルだったのです。

加えて、アニメやボカロといったものがとても好きで、ヲタク文化へのシンパシーを持っていたことはヲタ芸にハマる理由としてあったと思います。

ヲタ芸をはじめる前に、実は少しダンスをやったこともありました。
聖学院中高の記念祭では、高1のときに講堂のステージに立ちました。
3ヶ月くらい練習をして、それなりに楽しかったのですが、部活もやっていましたし、本格的にスクールに通うような時間はありませんでした。
そのときに思ったのが、スクールに通わないで独学でダンスをやるのは限界があり、難しすぎるということです。

しかし、ヲタ芸を見たときに、これならできるなと思いました。
というのは、ヲタ芸はダンスのように足を動かさず、地面にべったりと足を広げて、足二本で身体を支えて、光を振り回す動きを見たときに、これなら動画を見ながら一緒に動いて覚えることができると思ったからです。
自分にとってはハードルが低いと感じたことがヲタ芸をはじめた理由にあります。

僕の仲間でもアイドルからヲタ芸の世界に入ったという人は意外と少ないのではないかと思います。
危ないからという理由で、アイドルのライブでヲタ芸をすることはもはや禁止されていますし。

発祥はアイドルオタクの応援芸には違いないのですが、現在ではダンスのジャンルというか、ヲタ芸というパフォーマンスとして市民権を得ています。
特に海外からはそうした評価を受けています。


サンダースネイク!?ムラマサ!!?アマテラス!!!?

ーーヲタ芸には「流派」や「型」みたいなものはあるのですか?

ヲタ芸は比較的歴史の浅い文化ですから、流派みたいなものはまだないのではないかと思います。

しかし「技」はあります。
ヲタ芸はダンスと同じように8拍を1まとまりにして、フォーエイト(4×8)、すなわち32カウントで一つの振り付け(技)を作ります。

ヲタ芸の技は多様であり、プレーヤーの数だけ技があると言って過言ではないと思います。

ヲタ芸といえば誰もが頭に描く、ヲタ芸を象徴するような「ロマンス」という技があります。
ロマンスはシンプルな技ですが、ヲタ芸の原点にして頂点だと思います。
やると絶対盛り上がります。

そして、次に有名な3大技と言われる技があります。
それが「サンダースネイク」「ムラマサ」「アマテラス」です。

なんだか個性的なネーミングですが、ヲタ芸なので作った方のヲタクな感性が現れているのかも知れません。

ヲタ芸といえば皆さんは、サイリウム※という光るスティックを使ったパフォーマンスをイメージされると思いますが、サイリウムを使わずに素手で行う地下芸というものもあります。

僕はサイリウムを使うパフォーマンスが好きで、光の演出こそがヲタ芸の醍醐味だと思っています。

サイリウムとは、アイドル等のライブなどで、ファンが応援の際に使う光る棒のことです。「ケミカルライト」とも呼ばれます。内部にガラス管と薬液が入っており、ポキっと折ることで数時間光る使い捨てのタイプになります。
一方で、ペンライトはサイリウムと違い、電池式のため長く使い続けることができます。複数の色に変えることができる高性能なものもあります。デビューしているアイドル等は、公式のペンライトを販売しているケースが多いです。

出所:7net 「推し活応援コラム」 https://7net.omni7.jp/general/oshikatsu/oshikatsucolumn42   


↓ サンダースネイク



思い出はバスケ部と英語の授業

ーー稲垣さんは聖学院時代はどのような生徒でしたか?

部活動は中1から高3までずっとバスケ部でした。
ポジションはポイントガードです。
バスケ部は記念祭の日にOB戦を実施するのが恒例なのですが、先日の記念祭のOB戦にも参加しました。

授業に関していえば、僕は文系の科目があまり得意ではなかったので、消去法で理系の大学に進学することを選びました。

そんな僕なのですが、実は英語が得意でした。

僕が聖学院にいた頃、榊原研一先生の「DJイングリッシュ」という授業がありましたが、とても衝撃的でした。
授業が楽しくて、英語も上達できて、印象に残っている授業です。

榊原先生の英語の授業

ヲタ芸の活動は、国内だけではなく、もちろん海外も視野に入れているので、聖学院で学び自信を得た英語は今まさに活かされていますし、これからも役に立つと思っています。

高1のときに記念祭でダンスのステージに立ったと話しましたが、ヲタ芸は記念祭では一度も披露できませんでした。
実は当時、マナーの悪さからゴミが出るという理由で、講堂でのサイリウムの使用が禁止されていたのです。
サイリウムではなくてペンライトを使ったらどうか?と言われましたが、僕は先ほど言ったように光こそがヲタ芸の醍醐味だと思っていたので、サイリウムを使うことにこだわりを持っていました。
そして、サイリウムが使えないのならヲタ芸はできないと判断し、記念祭のステージに立つことを断念しました。

このエピソードを受けて、今回の取材ではサイリウムを持った姿を講堂で撮影させていただきました。

念願の講堂でのヲタ芸



ヲタ芸を世界に広めるミッション、
まずはアポロシアター出演をめざす

ーー稲垣さんのビジョンを聞かせてください

実は今、僕のチームは、アーティストの憧れの聖地、ニューヨーク、マンハッタンのアポロシアターの出演権を賭けたオーディションにチャレンジしているところなんです。
東京予選は無事、通過しましたが、来年の2月に本戦があって、そこで優勝すればアメリカ行きが決まります。
優勝してアメリカ行きを決めて、アポロシアターでヲタ芸をするというのが現在の一番の目標です。

ヲタ芸を世界に広めることが僕のミッションなので、アポロシアターはその第一歩となります。
実現できれば大きな一歩です。

長期的なビジョンとしては、50歳くらいまではプレーヤーとしてやっていきたいと思っています。

ヲタ芸はまだまだ主役として確立していないと思っています。
様々なエンターテインメントの中の一つのパフォーマンスとしてヲタ芸は認められていますが、ヲタ芸単体で独り立ちできるような、ヲタ芸が主役となれる世界を作ることが僕の夢です。


僕の仲間が「ヲタ芸甲子園」という、学生限定で日本一を決める大会を今年初めて開催しました。
それを応援して、今後も継続していきたいと思っています。


ぜひ一度、ヲタ芸を見てください!

ーー最後にこの記事を読んでくれている皆さんにメッセージをお願いします

ヲタ芸はクールジャパンを代表する日本の新しい文化です。
とはいえ、まだまだ発展途上にある文化です。

ヲタ芸という言葉から、誤解されていることも多いと思っています。
固定観念や偏見を持たずに、とはあえて言いません。
偏見を持って見てもらい、そのギャップから興味を持ってもらえたら僕の思惑通りです。

僕が一瞬で心を奪われたように、魅了される人もきっと多いのではないでしょうか。
まずは一度、見てもらえたらと思っています。

(取材:2024年12月)

ーー稲垣さん、ありがとうございました。アポロシアターの出場権、ぜひ獲得してヲタ芸を世界に広めてください。応援しています!

●稲垣 航輝(いながき こうき)さん プロフィール
聖学院中学校・高等学校 卒業
ヲタ芸パフォーマー Clifford
大学生時代にヲタ芸で集った仲間とパフォーマンスチームを結成、そのチームを母体として現在、パフォーマーとして活躍中
東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 卒業

稲垣さんのパフォーマーとしての名前はClifford
CliffordのYouTubeチャンネルと、510万人の登録者がいるゼロ打ちのYouTubeチャンネルはこちらです




最後までお読みいただきありがとうございました。
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