グラレコ描きながら人を応援する仕事|#051 八川まどかさん
女子聖学院中学校・高等学校 卒業
キャリアコンサルタントの知り合いから、「グラレコで絵を描きながらコーチングをする面白い人がいるよ」とSNSを通じて、ある人をご紹介されました。
それが、なんと女子聖学院中高の卒業生の八川まどかさんでした。
不思議な縁だなと思いつつ、紹介されてはや2年半。
このたび、ようやく念願の取材が実現しました。
初めてお会いしたところ、思った通り、笑顔の素敵な楽しい方でした。
記念祭パンフレットの表紙になった八川さんの作品
ーーさっそくですが、女子聖学院時代のことをお聞きしてもよいですか?
女子聖学院に来るのは卒業以来だと思います。
懐かしいですが、すっかりどこも綺麗になりましたね。
女子聖学院在学中のことと言えば、運動会(赤組)や12月のハレルヤコーラスなど楽しい思い出がたくさんあります。
合唱コンクールでは指揮者を務めたこともあります。
さっきチャペルをのぞきましたが、パイプオルガンを演奏したこともあるんですよ。
好きな科目は美術と音楽でした。
好きでしたし、得意でした。
ですから、美術と音楽の成績はずっと良かったですね。
部活は美術部に所属していました。
顧問は渡邊しのぶ先生で、私の同期では東京芸大に進学した子もいました。
私の大親友の河口さんも美術部でした。
5人グループで仲良しなのですが、河口さんは特に親しくて、今でも2ヶ月に一度くらい会っています。
前世は姉妹だったんじゃないかと思うくらいです。
そうそう、学科は違いますが彼女も日大芸術学部に進学していて、教育実習では女子聖学院にお世話になっていたと聞いています。
今日は、これを持ってきてみました ↑ 。
在学中の記念祭のパンフレットなのですが、この表紙の絵を私が描いたんです。
記念祭からの公募があって、応募された作品の中から、生徒たちの人気投票によって選ばれるのですが、なんと私の絵の人気が一番高かったんです。
うれしかったですね。
アナウンサーになる夢、舞台音楽の仕事、そしてケーブルテレビ局へ
ーーそして日芸の放送学科に進学されるわけですが、絵画やデザインとかではなくて放送を選んだのはなぜですか?
実はですね、ここだけの話、アナウンサーになりたいと思っていたんです(笑)。
当時、フジテレビのアナウンサーだった中井美穂さんや近藤サトさんも日芸の放送学科出身でした。
しかし、大学へ入学すると一瞬で戦意喪失してしまいました。
中井さんや近藤さんも放送学科出身だったので、放送学科にはアナウンサー志望の学生がたくさんいたのです。
いわばライバルですね。
そしてそのライバルたちの美男美女ぶりにはびっくり仰天でした。
とても敵わないなと思いました。
新入生歓迎のイベントがあって、日芸の先輩たちによって、映像を流しながら舞台をやるみたいなショーが実演されました。
それがすごくカッコ良くて、感激して自分も作りたくなりました。
しかし、絵は描けるけど、自分は映像は撮れないなと思ったんです。
でもよく考えたら私はピアノが弾けるぞ!と思いました。
それで、私は映像に音楽をつける役割を見つけました。
縁があって大学3年生のときに松尾貴史さんやラーメンズさんが出演する「ニッキーズ・パビリオン」(作・演出:故林広志)という舞台の音楽を担当させてもらいました。
この経験と実績によって、この世界でやっていけるぞ、と思っていたのですが、世間はそう甘くなかったですね。
しかも就職氷河期だったので、結局、卒業後は就職をしないまま、音楽業界の企業でアルバイトなどしていました。
とはいうものの、いつまでもこのままじゃいかん!と思い立ち、そしてケーブルテレビ局に就職をしました。
ーーケーブルテレビのお仕事から、現在のお仕事に至るにはどのような経緯がありましたか?
ケーブルテレビ局では、ディレクター、プロデューサーとして合計で12年間、一日もサボっていないというくらい夢中で働きました。
「北区だいすき!CMコンテスト」という企画では社長賞をいただきました。
その時に、自分の中で「番組づくりから人づくりへ」という変化がありました。
ケーブルテレビ局で働いている間にとても良い上司に出会いました。
「一制作マン、一テレビマンとしてではなくて、会社の中で君がどんな役割を担うべきなのかをよく考えてごらん」とその上司に言われたことがあります。
そのことが頭をよぎり、ただ番組を作る人になるのではなくて、私が関わることによって、北区の市民をはじめたくさんの人たちにどんな影響を与えられるのかと考えて仕事をしました。
そして気づいたのです。
この仕事が、番組づくりというよりも信頼関係の構築であることに。
CMコンテストはプロジェクトという形式で、テレビ制作の部署だけではなくて、営業やバックオフィスなどの他部署からも有志で熱意のある人を募集しました。
そこには、若手育成という意味がありました。
すると例えば、技術部の男の子が、「このチームお揃いのTシャツを作りたい」と提案してきたり、経理部の女の子が「ポスターのデザインをしたい」と立候補してきたりして、みんな本当はやりたいことがあったんだなと思いました。
プロジェクトなので、基本的にメンバーの部署での通常業務に加えての仕事であり、大変だったはずなのですが、みんなモチベーションがだだ上がりして、それは通常業務にも影響し、仕事を楽しくできるマインドを持つようになったんです。
その制作の過程の映像をドキュメンタリーとして記録していました。
それを番組にするために、メンバーにインタビューをしたら、普段クールな女の子がボロボロ泣きはじめて。
それから、営業部や技術部など、普段褒められることのない部署の子たちがお客様に褒められる経験をしているのを見て、自分の役割を超えて何かをやっている姿の美しさを私は知ってしまったんです。
それで、できるならばずっとこれをやり続けたいと思いました。
今思えば、それが組織改革、人材開発の仕事のフェーズに変わるきっかけだったのだと思います。
グラレコ描きながら人を応援する仕事
ーー グラレコーチング®︎について教えてください
マインドの変化から、転機は訪れました。
自分では”人生初の見切り発車”と言っていますが、実は、次の職場を決めないでケーブルテレビを退職しました。
貯金も少しあったので、1年ぐらい遠回りしても良いかなと思い、グラフィックファシリテーション※やワークショップデザインの勉強をはじめました。
グラフィックファシリテーションでは、グラフィックが描けても、何のために場を活性化するのかということが大事で、ファシリテーションが理解できなければこの仕事はできないと厳しい意見もいただいていました。
そんなとき出会ったのが今の私のコーチングの師匠、藤由 達藏(ふぢよし たつぞう)さん(株式会社Gonmatus代表)です。
そして現在、私はグラレコやコーチングのスキルを活用して、個人やグループのコーチング、研修講師など「グラレコ描きながら人を応援する仕事」をしています。
グラレコーチング®︎はグラレコとコーチングを合わせた私の造語で、商標も取得しました。
グラレコ(グラフィックレコーディング)とは絵と文字と色を使って、会議や研修、ワークショップなどで空中に飛び交う言葉を言語化・可視化して記録に残していく手法です。
その目的は主に2つあって、一つは場の活性化です。
絵や色を使うことで殺風景な会議もカラフルになり、クリエイティブな演出ができます。
もう一つはふりかえりです。
後であらためてグラレコを見ることによって、会議の全体を俯瞰的に把握することができますし、会議や研修の内容を思い出すこともできます。
そして、グラレコを使ってコーチングをするのがグラレコーチング®︎です。
コーチングは自分の経験や内面の振り返り作業です。
自分と向き合うことは、ときに中々しんどいことですが、絵や色によってしんどいことも楽しく感じられる効果が期待できます。
コーチングのセッションが楽しくなれば、引き出されることは多くなりますし、そのスピードも上がり、結果的にたくさんの気づきを得ることができます。
ですから、楽しい、スピード、たくさんの気づきの3つが、グラレコーチング®︎の主な特色だと私は考えています。
世界で活躍するヲタクのお姉さん
ーー 八川さんのこれからのビジョンをお話しいただけますか?
私のビジョンは、「己のヘンタイ性に心をひらき『私の幸せ』を生きる人で満ちあふれる世界をつくる」ですね。
カッコいいビジョンを口にしているうちは、それって本当にやりたいことなのかな?って思うところがあります。
本当にやりたいことは、人に言えないカッコ悪いことだったりするのじゃないでしょうか。
そのカッコ悪いことを、「オレこれやりたい」「私これがやりたいんだよ」と、飲み会の場じゃなくても普通に言える世界。
80億人いるならば、80億通りの幸せのカタチがあって、誰もが本来のあるべき人の姿で生きていける社会をつくりたいなと思い、そのために今の仕事をしていると思っています。
そして、そのために自分は、多分一生学び続けていくと思います。
そして私のヘンタイ性が何かといえば、
それは「世界で活躍するヲタクのお姉さん」です。
日本のアニメや漫画にはコーチングで活かせるセリフがたくさんあります。また、漫画であれば、言葉ではなくノンバーバルで伝えられることができるので、漫画をうまく活用して、誰もが自分らしく幸せに生きられる社会の創造に貢献したいと思っています。
(取材:2023年10月)
ーー 八川さん、素敵なグラレコとお話ありがとうございました。おかげさまで、とてもクリエイティブで楽しい取材となりました。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
八川さんの応援、どうぞよろしくお願いします。
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