Doing Charity by Doing Business|#055 山田 真人さん
聖学院中学校 卒業
昨年5月に取材をさせていただいた平尾健二さんから、「紹介したい卒業生を見つけちゃいました!」とご連絡をいただきました。
紹介したい卒業生とは、「NPO法人せいぼじゃぱん」代表理事でアフリカのマラウイの子どもたちの給食支援を行なっている、聖学院中学校の卒業生、山田真人(やまだ まこと)さんでした。
WEB記事を拝見すると、まさしく聖学院の卒業生らしい取り組みをされていて、これは生徒たちの良い刺激になるだろうという直感から、すぐアプローチさせていただき、平尾さんのご紹介からわずか1週間で取材という運びになりました。
良い出会いはすぐに形になるものです。
※山田さんをご紹介していただいた平尾さんはこんな方です
↓
マラウイを支援する企業Mobellとせいぼの発足
ーーNPOせいぼの活動内容と発足の経緯をお教えいただけますか?
せいぼの主な活動は3つあります。
まず1つめは、マウライ北部の小学校と南部の幼稚園の給食支援活動を行なっています。
これはもともとJICA(独立行政法人 国際協力機構)のプロジェクトだったものを引き継ぐ形でスタートしました。
それを支える活動がファンドレイジング(寄付募集活動)ですが、それが2つめです。
寄付の集め方は様々ですが、マラウイ産のオーガニックコーヒーを仕入れて販売し、その収益をマラウイの支援の資金としています。
3つめは、このような企業とNPOが協働して行なっている、寄付と支援によるソーシャルビジネスのモデルを教育の形にして、学校で生徒や学生に伝えていく事業を行なっています。
実は私は、せいぼの活動費用や学校給食の支援金を提供しているMobellというイギリスに本社のある通信会社の、日本支店のマーケティング&セールス担当部門にも在籍しています。
私がせいぼに参加したのとMobellに入社したのは、ほぼ同時期です。
Mobellはもともとマラウイの支援をしており、Mobellの支援があるので、せいぼの活動ができています。
2011年から岩手の遠野の町おこし目的で、米粉をマラウイに送っていたのですが、そのプロジェクトの終了の年が2015年でした。
しかし、2015年にマラウイでは歴史的な大洪水が起こり、山間部に大きな被害が出ました。
プロジェクトがストップしてしまえば多くの子どもたちが栄養失調になってしまいます。
Mobellはマラウイで職業訓練センター ビーハイブ( Beehive)を運営していましたが、ビーハイブの責任者ピーターたちが、せいぼマラウイを立ち上げて給食支援事業が開始されました。
運命を変える「人」と「言葉」との出会い
私は上智大学の英文学科を卒業しましたが、もう少しキリスト教を学びたくて、卒業後に神学科に3年次入学しました。
その神学科在籍中に、上智大学で開催された「ハロウィンナイト」に参加をしました。
ハロウィンはアイルランド起源なので、アイルランド人の方のプレゼンテーションがありました。
私は英語が得意なので、それを一番前で見ていて、日本語のニュアンスをアドバイスするなどプレゼン中から講演者とコミュニケーションを取っておりました。
その後、ご縁があり、その講演者の方が勤務する事務所に行く機会がありました。
その講演者の勤務先がMobellであり、その日がMobellの社長、トニー・スミス氏との出会いの日でした。
その出会いの日、トニー氏は私に1枚のカードを渡しました。
それはマラウイの職業訓練センター ビーハイブの事業を説明するカードでした。
そしてそこには、後に私の人生を変える言葉が書かれていました。
それが“Doing Charity by Doing Business”です。
初対面にも関わらずトニー氏は私に「マラウイに行きたくないかい?」とたずねました。
私は当初その意味がわからず戸惑いましたが、2ヶ月後にはトニー氏の会社に入社することを決心していました。
せいぼマラウイの学校給食支援事業を支援するカタチでNPOせいぼ じゃぱんが発足し、私はMobell入社とほぼ同時期の2017年にせいぼ じゃぱんに加わり、現在は代表理事を務めています。
※せいぼじゃぱんの活動はこちらをご覧ください
↓
I Want to be a priest
ーー聖学院在学中の思い出をお聞かせください。
私はクリスチャンの家庭で育ちました。
聖学院はプロテスタントですが、私はカトリックのクリスチャンです。
中学時代に講堂で英語のスピーチのコンテストがあり、私はそれに出場して自分の夢を語った記憶があります。(※↑記事巻頭の写真はコンテストを思い出して講堂で撮影しました。)
”I Want to be a priest”とスピーチしました。
私はその頃、神父になりたいと思っていました。
授業で印象に残っているのは英語です。
若くてチャーミングな吉田朝子先生が英語の担当の先生で、私は実は当時ファンでした。
チャーミングな吉田先生ですが、課題には容赦がなくて、こんなに覚えるの⁉︎という暗唱の宿題を毎回出すのでした。
中学生の私は純粋だったので、先生が課す宿題に、真面目に必死に取り組んでいたら、段々と英語を覚えることが楽になりました。
それから聖書科の授業では、井本先生に旧約聖書のヤコブの息子の名前を12人全員、暗記させられました。
中学時代は英語も聖書も意味もわからずに言われるままにただ暗記していただけなのですが、大学で学ぶようになって、自分で考えてアウトプットをする必要が出てきたときに、知識の蓄えがあることが意味を持つということがわかってきました。
中学ではヤコブの息子たちの名前をただ覚えましたが、それによって旧約聖書に興味を持つようになりました。
旧約聖書は原文がヘブライ語で書かれていて、新約聖書はギリシア語で書かれています。
二つの言語を比較して読むとたいへん面白いです。
上智英文科の卒論は『聖書釈義学』をテーマにしました。
聖書と文学双方に精通している先生の研究テーマに関心があったので、その先生の指導を受けました。
ストウ夫人が書いた「アンクル・トムの小屋」という奴隷をテーマにしたアメリカの小説があります。
その作品はイエス・キリストをモチーフとする解釈ができます。
欧米の文学を表面的でなく、深く理解するためには神学を理解することが必要であると思いました。
それが英文科卒業後に神学科に再入学した理由の一つです。
そして神父になることの夢が継続していたことがもう一つの理由でした。
中学時代は私は体格が良い方で、体育祭では騎馬戦で活躍しました。
足もダントツに速かったので、本格的に自分の可能性を試してみたいと考えて、陸上競技をやるために実は高校は別の学校に転学しました。
”Doing Charity by Doing Business "
ーー山田さんが実現させたいと考えているビジョンをお聞かせください。
誰かが、自分が良いという信念を持っていることを気持ちよく実行することができる、そういう世の中になるためのシステムを作れるようにしたいです。
NPO法人、宗教法人、社団法人、海外のチャリティオーガナイゼーションが非営利団体として第3セクターで協働して有意義な活動を行う。
そしてビジネスがそれに刺激されて活動を起こす。
そんな世の中にしたいです。
そうしたらすべてが循環していくと思うんです。
協働をカトリックはシノダリティの文脈で大事にしています。
シノダリティとは簡単にいうと教会の協働の姿です。
協働はカトリックとプロテスタントが一緒にできることでもあります。
私自身が実現したいコンセプトとして大切にしているのはビーハイブのカードに書かれていた言葉、”Doing Charity by Doing Business "です。
せいぼじゃぱんの活動によって得た利益をマラウイに送金し、支援された子どもたちがやがて成長し、マラウイで活躍する。
マラウイという国の将来に貢献することが、せいぼのミッションです。
そしてMobellはそれをカタチにするための重要なパートナーです。
すなわち、Mobellのビジョン、せいぼのビジョンが共通する私のビジョンでもあると思います。(取材:2024年1月)
ーー 山田さん、ありがとうございました。これからいろいろと一緒に企画を実現させていきましょう。まずはTEDですね。
●ご寄付によるご支援をお願いします→こちらから
最後までお読みいただきありがとうございました。
山田さんとNPOせいぼの応援、どうぞよろしくお願いします。
まずは♡(スキ)で応援してくださいね。