見出し画像

ありのままの自分を認めることのできる教育環境を実現したい|#003 小島 祥美さん

女子聖学院中学校・高等学校 卒業


近年、日本で暮らす外国人は年々増加し、コロナ禍前(2019年末)には過去最多を記録しました。

それに伴い外国につながる子どもたちも増え(約12万人)、うち約2万人が教育を受ける機会を失っています。(2020年3月末)

その大きな理由として、国が外国籍者を義務教育の対象としないことや自治体ごとで受け入れ態勢が異なることなどがあります。


自分が当たり前と思っていた教育環境がこの子たちにはない

この問題に取り組んでいるのが、女子聖学院中高卒業生の小島祥美さんです。

「聖学院小学校でも女子聖学院中高でも個人が尊重された学校です。
在日コリアンの生徒も先生も本名を名乗っていました。
自分は自分らしくて良いと私に教えてくれた場所です」

と在校当時を振り返ります。

小島さんは進学した短大卒業後、埼玉県の公立小学校に勤めます。
そこで外国につながる子どもたちに出会います。

その子たちの「学校が嫌い」
という言葉がとてもショックだったと言います。

この言葉の裏には、制度や体制の問題がありました。

「自分が当たり前と思っていた教育環境がこの子たちにはない」

この思いが小島さんの活動の原点となります。


全国での不就学ゼロが私の目標です

小島さんは再び大学を受験して言語と国際協力を勉強し、NGO職員などもへて、岐阜県可児市に引っ越します。

そこに暮らす全ての外国籍家庭を訪問し、外国籍の子どもの就学実態を日本で初めて明らかにしました。そして同市の職員になり、「不就学ゼロ」を実現します。

今では小島さんの視点が社会に必要だと認められ、東京外国語大学の「多言語多文化共生センター長」、文部科学省「外国人児童生徒等教育アドバイザー」に就任されています。


2年前、国が初めて「外国につながる子どもたちの実態調査」を始めました。

小島さんの活動がようやく実り始めています。

「全国での不就学ゼロが私の目標です」と小島さんは語ります。
(取材:2021年6月)

「いつのまにか輪の中心にいる生徒でした。人の話をしっかり聞いた上で意見を言うので、説得力があり、リーダー的存在でしたね。」と木村先生。
中1、中3の時、担任だった城築(当時は森井)先生からもらったメッセージカードは小島さんにとって一生の宝物。


【著書紹介】
Q&Aでわかる外国につながる子どもの就学支援
小島 祥美 編著(2021, 明石書店)

「学校の先生が困った時に読んでほしい。外国につながる子どもの存在が、豊かな教育につながるよ」と伝えたい。そんな思いで書きました。

●小島 祥美(こじま よしみ)さん プロフィール
東京外国語大学准教授、多言語多文化共生センター長。
人間科学博士(大阪大学大学院)、専門は教育社会学(多文化共生、ボランティア)。小学校教員、NGO職員、地方自治体職員、愛知淑徳大学教授を経て、2020年9月東京外国語大学着任、2021年4月多言語多文化共生センター長就任。

《 小島 祥美 さんの近況報告 》
今回のnote掲載に際して、こんな追加情報をいただきました。

“私の人生で誇れることの1つが、
「女子聖で過ごした6年間、皆勤であったこと」です。
そのため、中学の時も、高校の時も、いずれの卒業式では
卒業証書と皆勤賞をいただきました。”

また、近々、女子聖学院中高にてゲスト講師としての授業が予定されているそうです。
(2022年 4月)

「誰一人取り残さない」世界の実現を目指して   
聖学院は教育で社会に貢献しています。

●ご寄付によるご支援をお願いします→こちらから