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新たな教室で新たな未来を!|#069 小川 浩次さん

聖学院高等学校 卒業

今年、聖学院中高のPCルームのリニューアルが行われ、このたびフューチャーセンターCとして生まれ変わりました。
リニューアル業務を請け負っていただいたのは、教育、学校を専門にICT環境整備、空間デザインを行う株式会社JMCという会社ですが、なんと偶然にもその会社に聖学院高校の卒業生が所属していると聞きました。
しかも取締役だと言います。

PCルームがどのようにリニューアルされるのか興味もあり、工事開始直後のタイミングで、卒業生の小川 浩次(おがわ こうじ)さんにお話をおうかがいすることにしました。




教育に特化したICT環境整備企業

ーーPCルームのリニューアルを小川さんの会社にお願いすることになったのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?

時代の変化に伴い生徒の学び方が変わるので、学習施設のあり方も変わっていきます。
高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)という環境整備等を支援する補助金の募集に聖学院中高は採択されました。
それでフューチャーセンター(以下FC)と同フロアにある、PCルームがリニューアルされることになったわけです。
リニューアル後、PCルームは「フューチャーセンターC(以下FCC)」となります。

DXハイスクールの業務運営を担当している聖学院中高の先生が、他の私立学校の先生に相談をしていて、紹介された会社の一つが、私が所属する株式会社JMCだったと聞いています。

弊社の営業担当から聖学院中高からこのようなお仕事の依頼があったという報告を受けて私もびっくりしましたが、「私の母校だよ」と伝えると社員たちもびっくりして、「全身全霊で取り組もう!」と盛り上がりました。

JMCは設立して来年50周年になります。
JMCとはジャパン・マイクロ・コンピュータが語源で、パソコンではなくマイコンの時代に、マイコンの製造・販売をする会社としてスタートしました。

最初は多角的な業務を行なっていたのですが、相模原市の公立学校の「PC教室」の仕事を受注したことをきっかけに教育事業に本格的に特化してまいりました。

当時の、相模原市の学校の仕事はPC教室の先駆けでありました。

教室に40台くらいパソコンが設置されたのですが、設置されても多くの人が使い方がわからないという時代でした。

「これは教えることができる人が必要だ」ということで、単に導入するだけでなく、生徒のサポートをしたり、故障したときのヘルプデスクの役割を担ったり、先生方の研修を行うなど、人的なサービスを充実させる方針を持つ必要がありました。

現在、約500名の従業員が所属していますが、そのうち200名くらいは実はICT支援員です。

経験とノウハウを蓄積し、実績を築いていき、おかげさまで会社は順調に成長してくることができました。

GIGAスクール構想も追い風となり、弊社からも学校へたくさんの端末導入を行いました。
しかし、生徒に1人1台の端末が配られるということは、PCルームが不要になるということです。
PCルームの設置業務が、私たちの会社のメイン業務であったので、それがなくなってはたいへんです。
そこで空間デザインという考え方を取り入れるようになりました。

また、余談ですが、弊社は教員免許を持っているメンバーが多くいます。
実は正社員の4割は教員免許を持っているのです。
そのため「先生の想いがわかる」ということがうちの会社の強みになっています。

小川さんが取締役を務める株式会社JMCのホームページはこちら


「水飲み場」「洞窟」「山の頂」を学習環境として設置

ーー聖学院中高のFCC(PCルーム)はどのような部屋になる予定ですか?

聖学院中高にはアクティブラーニングとして活用できる教室として、すでにフューチャーセンター(FCA、FCB)があり、ものづくりのためのスペースとしてはファブラボがあります。
FC、ファブラボではiPadやMackbookなどの端末を利用しているため、互換性を保つ必要があります。

FCを会場として、プレゼンテーションの機会が多くありますが、発表スペースが明確になっておらず、スポットライトもなく、あまり発表ステージというイメージはありません。

今回のリニューアルでは、ステージとして一段高くするまではしませんが、カーペットの色を変えて発表スペースが明確になるようにします。
また、Yogiboを置いて、全体的には、TED Talksの会場をイメージしました。

JMCでは、デイビッド・ソーンバーグ氏の「Campfires in Cyberspace」(1999, Starsong Publications)を参考にして、次の5つの学習環境が重要であると捉えています。

それは「CAMPFIRE(キャンプファイア)」「WATERING HOLE(水飲み場)」「CAVE(洞窟)」「MOUNTAIN TOP(山の頂)」「SANDPIT(砂場)」の5つですが、FCCには、先生方と相談の上、「WATERING HOLE」「CAVE」「MOUNTAIN TOP」の3つをコンセプトに入れることにしました。

「WATERING HOLE」を表現するのは可動式の5角形の机です。
「水飲み場」は心理的安全性の高い集いの場で、雑談を含めて、仲間との対話が行われる場所として設計しています。
机を3つ、5つと集合させて活用することで、対話しやすい、グループワークに適した環境をつくることができます。

「CAVE」とは「洞窟」のことですが、学習には洞窟のような空間で一人になって深く考える時間も必要です。
FCCには窓際にいくつかの机を設置し、一人で落ち着いて探究を進められる空間としました。

そして「MOUNTAIN TOP」は「山の頂」、発表の場所です。
プロジェクターのスクリーン側の発表スペースを明確化し、スポットライトも設置します。


出所:株式会社JMCホームページ(https://www.jmc-edu.co.jp/service/newroom/


私にとって仕事とは " 旅行 " 

ーー小川さんがJMCでお仕事をするに至った経緯を教えてください。

社会に出てから、今の会社は2社目となります。
前職は、金融系の大手企業をクライアントとしてシステムの制作などをするシステム会社でした。

大学生の頃は映画が好きで、よく観ていました。
『ミッション・インポッシブル』シリーズに、ルーサー・スティッケルという名前のハッカーが登場するのですが、彼のパソコン操作がとてもカッコよく見えて、IT関連の仕事に興味を持ったのがきっかけで、システム開発会社に入りました。

私はこの会社でITについて理解し、スキルを身につけていきました。
そして、大きな会社ではありませんでしたが、この会社でも取締役になりました。
私は「できない」「やれない」とは決して言わず、何にでもチャレンジします。
日々夢中で仕事をしていたら取締役になっていたという感じです。
「できない」「やれない」と言わないことを評価されたのかも知れません。

ではなぜ、何でもやることができたのかといえば、私は仕事をいわゆる” 仕事 " と思っていないため、ちっとも辛くはなかったのです。

仕事とは、私にとってはいわば " 旅行 " のようなものです。
仕事だと面倒だと感じる様々な準備は、旅行だと思えばワクワクする楽しみとなります。
また、ちょっとしたトラブルだって旅であれば、醍醐味の一つに過ぎません。

仕事は楽しかったのですが、あるとき思うことがあって退職を考えました。
取締役の立場で、在職中に転職活動をするのはどうかと思ったので、退職してから就職先を探しました。

前職を退職してすぐに東日本大震災があり、再就職には少し苦労をしましたが、縁があって現在の勤務先のJMCに入社することができました。

そして現在は、JMCの取締役として、主に営業関連の業務の管掌をしています。


相談しやすい担任の先生、沖縄の修学旅行

ーー聖学院高校時代の思い出を聞かせてください

私は高校受験で聖学院高校に入学しました。
高校時代のことで印象に残っているのは、担任だった松野 寛先生のことです。
高校1年生はまだまだ幼く、精神的にも不安定なものですが、松野先生が担任で本当に良かったと私は思っています。
松野先生は、程良い感じで、厳し過ぎず、そしてとても相談しやすい先生でした。
良い意味で、聖学院の雰囲気を、素で醸し出している先生だと思います。

修学旅行は沖縄でした。
聞くところによると、聖学院が修学旅行を沖縄にして初めての学年だったそうです。

今でこそ、そうではないかも知れませんが、私の世代では、沖縄に修学旅行で行くなんて珍しいことでしたので、社会人になってお酒の席で修学旅行の話が出たときに、沖縄の話をするのは話題提供にもなりますし、ちょっと誇らしい気持ちでもあったことを覚えています。


英語教育を何とかしたい

ーー小川さんのこれからのビジョンをお聞かせください

私はアメリカで生まれてイギリスで育ちました。
日本以外の国での教育も受けてきています。
その上で、日本の英語教育について思うことがあります。

日本が島国であることが影響しているのか、日本人はオープンなマインドになりきれないところがあります。
そしてその大きな理由の一つとして言葉の壁があります。

日本の英語教育は、読んで、聞いて、話して、書くという順番で行われます。
ところが海外ではそうではなくて、聞いて、しゃべらせてから、読んで、書くのです。

これからの社会で活躍するグローバルな人材を育むには、自分の意見をきちんと伝えられるように英語を学ぶ必要があります。
生徒たちが興味を持って英語をしゃべって、英語をうまく使って、バックパックで旅行に出るといった機会が増えたら良いと思いますし、そういう英語の学びに私たちの会社が貢献できたら素敵だなと思っています。

それから長期的なビジョンとしては、長期的なことを考えるのはあまり得意ではないのですが、今ある人間関係、今一緒にいる仲間とずっとつながったままでいられたら良いと思っています。


新たな教室で新たな未来を

ーー最後に、聖学院中高の後輩たちへ、メッセージをお願いします

これから社会に出ることを考えたときに、どのような仕事に就くべきかを考えなければならないことが出てくると思います。
世の中には、いろいろな仕事がありますし、今は存在しない新たな仕事を創ることも一つの方法です。
自分自身で、見えていることだけにとらわれず、視野を広げて様々な視点を持ち、新たな部屋(教室)で新たな未来を探してほしいと思っています。

(取材:2024年8月)

「MOUNTAIN TOP」スポットライトのある発表ステージ
「CAVE」一人で深く考えられる洞窟のような空間

ーー小川さん、ありがとうございました。FCCの完成と、この部屋を使っての生徒たちの活躍がとても楽しみです。どんどん取材をして、ご報告をしたいと思います。

●小川 浩次(おがわ こうじ)さん プロフィール
聖学院高等学校 卒業
株式会社JMC 取締役
父親の仕事の関係で、出身地はアメリカで、イギリスのロンドンで育つ。
趣味は新しいことに挑戦すること、様々な文化に触れること。
好奇心旺盛で旅行好き、異文化への興味が強いのは幼少期を海外で過ごした影響かも。


「誰一人取り残さない」世界の実現を目指して
聖学院は教育で社会に貢献しています


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