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【Z世代の活躍!Vol.2】" Expanding Potential " 一歩踏み出す勇気 |#063 沼野 幸佑さん

聖学院中学校・高等学校 卒業

大学在学中にコンテストで受賞! 大学案内に掲載!などなど、若くから活躍している聖学院の卒業生がたくさんいます。

前回から、そうした若き卒業生たちをご紹介する『Z世代の活躍!』の連載をはじめました。

シリーズ2回目となる今回は、イギリスに、応用言語学とTESOL (Teaching English to Speakers of Other Languages) を専攻として、英語教育を学びにいく直前の沼野 幸佑(ぬまの こう)さんを取材させていただきました。




現在は聖学院中高で英語科の非常勤講師

ーー沼野さんの現況を教えてください

私はこの4月に国際基督教大学(以下、ICU)を卒業しまして、実は今、母校である聖学院中高で英語科の非常勤講師をさせてもらっています。

まもなく、7月の中旬からイギリスのランカスター大学の大学院に1年間留学するのですが、それまでの4月から7月の中旬まで教壇に立たせてもらっています。

昨年の教育実習も聖学院中高でお世話になったのですが、恩師である伊藤大輔先生に声をかけてもらい、現在、中学1年生から3年生の英語の授業を担当しています。

聖学院中学3年SSクラスの授業



ーー大学での受賞歴や、活躍などをお聞かせください

英語の授業内のペアの組み方の分析で、卒業論文賞を受賞

卒業論文で優秀論文賞をいただきました。
卒業論文は英語で執筆しました。

2023年度 Friends of ICU学術奨励賞
【溝口節子英語教育奨励賞】
 Setsuko Mizoguchi Academic Award in English Language Education

沼野 幸佑 NUMANO, Kou
The Relationship between Proficiency Pairings, Language related Episodes , and Collaborative Patterns across Task Repetition: A Case Study of Dictogloss Tasks for Junior High School Students in Japan
タスク反復における習熟度ペア、言語関連エピソード、協働パターンの関係性 日本の中学生を対象としたディクトグロス・タスクの事例研究

論文の内容は、英語の授業内アクティビティにおける習熟度別ペアの組み方について調査した研究です。

英語の習熟度が高い生徒同士がペアになった場合、習熟度が高い生徒とそうでない生徒がペアになった場合、そして習熟度の高くない生徒同士がペアになった場合の教育効果の違いを、録音した会話から分析して検証しました。

簡単に説明すると、英語の習熟度が高い生徒同士はもちろん学習効果がありますが、習熟度の低い生徒のペアでも、生徒同士が協力し合って、効果につながるということがわかりました。
習熟度の高い生徒と低い生徒とのペアの場合では、高習熟度の生徒がリードしてしまうことによって低習熟度の生徒への教育効果が低くなる点が問題だとわかりました。

しかし、そうした場合にも教員が介入することによって問題は解決されることが示唆されたという点がこの研究の成果となりました。


有志の研究会を発足し、公立小中学校でワークショップを実施

大学時代の主な活動としては、ある教授と一緒に実施した公立小中学校で英語のワークショップがあります。
ワークショップで使用する教材も私たちが一から開発しました。

2、3回のワークショップを実施したところで、今後、定期的に実施することを視野に入れて、母体となる団体を発足しようということになり、言語教育メジャーの学生に呼びかけて仲間を集めました。

ワークショップの学校での実施は、無償のボランティア活動なので、助成金の公募に応募するなどして資金繰りを行いました。

最初は大学の近くの三鷹市の公立学校での実施に限られていましたが、のちには、埼玉県の毛呂山町の公立学校や、ICUと提携関係にある三重県の学校でも実施するに至りました。


ICUの大学案内に掲載

今年のICUの大学案内の、「私が自分の道を決めるまで(学びのケーススタディ)」というコーナーで私の記事が掲載されています。

ICUを進路として選択したきっかけから、言語教授法について学び、英語を使う楽しさを体験するワークショップを地域で実践していくなどして研究テーマを見出し、卒論を執筆、そしてさらに研究を深めるためにイギリスの大学院への進学を決意したという、その思考と行動のプロセスを紹介いただいています。

↓沼野さんが紹介されている大学案内はこちらからご覧いただけます


生徒会の経験からリーダーシップを学ぶ

ーー沼野さんの高校時代の思い出を教えてください

中高6年間、テニス部に所属していました。

それから、中3、高1、高2と生徒会活動をしていて、高2のときには生徒会長を務めました。

中高が合同で生徒会活動をしていた年だったので、人数が多くて、記念祭(文化祭)など、意見をまとめるのがたいへんでした。
しかし、このときの生徒会での経験が、現在の教員の仕事に活かされていると感じています。

自らがリーダーとして率先して行動することはもちろん大事であるけれど、引っ張るばかりのリーダーシップではなくて、縁の下の力持ちといった、サーヴァントリーダーシップのあり方を、当時の生徒会顧問だった小瀬先生から学ばせていただきました。

それから、もう一つの思い出は卒業式です。
卒業式には答辞を述べさせていただきました。

親友という言葉は「親しい」友と書きますが、私は、聖学院で知り合った友だちは「真」の友であるというお話をして、先生や友だち、保護者の皆さまから好評をいただきました。


英語の教員をめざすようになったのは

私は、現在は英語の教員をめざしていて、実際に今でも教壇に立っておりますが、高2くらいまでは先生になりたいとはまったく思っていなくて、その頃はむしろマーケティングなどに興味を持っていました。

高3になってから、生徒会でリーダーシップを学んだことや、担任だった伊藤先生らに良くしてもらったことから、段々と教員という進路を意識するようになりました。

自分は勉強ができるわけではなかったのですが、中1のレギュラークラスから、何の間違いか中2でアドバンストクラスへ入ってしまい、授業についていけなくて、辛い日々がありました。

そんなときに支えてくれたのが、担任の伊藤先生や、私の学年を担当されていた、聡(宮)先生、隆允(宮)先生、宮崎先生といった先生たちで、「お前は大丈夫だ!」とずっと言い続けて、自信のない私に寄り添っていただきました。
そのおかげで、私はずいぶんと励まされました。

そうした苦労の多い6年間でありましたが、その苦労をした過去があるからこそ、自分が教員になったなら、私の様に自信がない生徒たちを励まして、後押しができ、心に寄り添えるのではないかと考えました。
徐々に教員になりたいという思いが少しずつ固まってきました。 

特に私は英語の学習にとても苦労をしたので、英語の教員であればなおさら生徒の気持ちがわかるのではないかと思いました。


トップクラスの英語教育を吸収し、発信したい

ーーこれからの沼野さんのプランとビジョンを教えてください

7月の後半からイギリスのランカスター大学大学院で1年間学んでまいります。
ランカスター大学は言語教育ではイギリスの中でもトップクラスの教育と研究を行なっている大学なので、世界を舞台に活躍されている一流の先生たちと関わりを持ち、世界レベルの英語教育をしっかり吸収して、帰国したら、それを教育者として日本に発信していきたいと思っています。

そして、聖学院中高でまた英語の先生ができるのならば、ぜひ頑張りたいと思います。

長期的なビジョンということでは、教員としてのキャリアを積んでからのことでありますが、起業をして、受験以外の英語の学びを提供する学習教室を運営したいと何となく漠然と考えています。


” Expanding Potential " 一歩踏み出す勇気を

ーー最後に聖学院の後輩たちにメッセージをもらえますか?

自分がICUへの進学を決めた理由の一つに、オープンキャンパスでもらったペンに刻まれた「Expanding Potential」という言葉があります。

一歩踏み出す勇気があれば、そこには新しい世界、無限の可能性が広がっています。

「違うかな?」と思うことでもやってみたら、そこに何か出会いがあるかも知れません。

一歩踏み出すことは、生徒たちにとっては高いハードルなののかも知れませんが、超えることができたなら、おそらく想像以上の世界が広がっているでしょう。

やらないで後悔するより、やって後悔した方が良いと思います。
ぜひ勇気を持って、小さな一歩を!
(取材:2024年7月)

ーー 沼野さん、ありがとうございました。イギリスからの帰国をお待ちしています。

●沼野 幸佑(ぬまの こう)さん プロフィール
聖学院中学校・高等学校 卒業
国際基督教大学 教養学部 (メジャー:言語教育、マイナー:教育学)卒業
卒業論文賞を受賞
2024年4月〜7月、聖学院中学校・高等学校で英語科非常勤講師として勤務
2024年7月よりイギリスのランカスター大学 大学院に留学予定


「誰一人取り残さない」世界の実現を目指して
聖学院は教育で社会に貢献しています


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